30年前のcookbook

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野村祐之のおもしろクッキング。
今からもう30年近く前、当時創刊されたばかりのオレンジページに連載されていた料理コラムです。
スクラップしたものを今も時々ひもときます。



著者が海外で生活していたときに、親しい人々から教えてもらった世界各地の家庭料理の数々。

サウスカロライナ出身のマリオ君が学生寮のキッチンで作ってくれたフライドチキン。
イタリア移民のアパートの大家さんから教わったパスタ。
ニューヨークの馴染みのカフェのおやじさん直伝のギリシャ風ゆで卵のピクルス。
さらには自家製ジンジャーエール、空き缶に牛乳と氷を詰めてひたすら転がして作るアイスクリーム…などなど。

ひとつひとつの料理や食材にまつわるエピソードが生き生きと描かれていて、すっかりその世界に引き込まれてしまいます。
どれもほんとにおいしそうで楽しそうで、自分でもすぐ作ってみたくなる。
そして、今のように世界の食材が自在には手に入らなかった時代にさまざまな試行錯誤を繰り返してオリジナルの味に迫ろうとする、その飽くなき好奇心と自由に工夫する心にも拍手を送りたくなります。





当時大学生だった私は、実はこの野村さんのご自宅で個人的に英語を習っていたのでした。
(ちなみに野村さんの本業は料理研究家ではなく、大学の英語の先生でした。)
他に言いようがないので“英語を習う”という言葉を使いましたが、実際は野村さんがご自身の海外生活を通じて感じとられたことをもとに自由に話し合ったりする、とても楽しい時間でした。
時には英語のクックブックを見ながら、実際にアップルパイを作ったり。
面白かったなぁ~。

野村さんはいつも私たちの好奇心をくすぐって、自分の頭で考えるとっかかりをくれました。

また、私たちが当たり前と思って意識すらしていないことが一歩日本を出れば実は当たり前ではなく、世界にはいろんな価値観や習慣を持った人たちが一緒に暮らしているわけで、コミュニケーションはそこから出発させること。
そういうことにも気づかせてくれました。




あの時は私も若くてあんまりよくわかっていなかったけど、今私がやりたいいろんなことのオリジンはここにあったんだなーって思います。

今の時代、ネットで検索すればそれはもういろんな料理の情報が手に入ります。
もちろん私もそれを活用し、重宝しています。
でも、“どこかの誰か”の作った洗練されたレシピではなく、親しくつきあっている友人だったり旅先でたまたま出会った味のある人たちなどから直接聞いた素朴な家庭料理のように、作るたびにその人の顔やその時の思い出が鮮やかに浮かんでくるような、そういうものがやっぱりいいなーってこの頃強く思うのです。

たぶんこれは料理に限らず、このブログでもそういうことをやりたいんだと思います。

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この記事へのコメント

おちゃ
2012年05月25日 21:36
う~む、いいお話でした。
内容的には八ヶ岳をちょっと離れますが、
良いエッセイになりそうです。
kauri
2012年05月26日 08:31
おちゃさん

久しぶりにこのスクラップを引っ張り出して来て読んでみたら、
「なんだ、私のやりたいことって実は野村さんがやってたことなんだ。」とあらためて気づいたのでした。

でもおちゃさんのブログにもどこか同じ匂いを感じるのです。
だからコメントとても嬉しく思いました。
ありがとうございます。
おちゃ
2012年05月27日 09:13
>おちゃさんのブログにもどこか同じ匂いを感じるのです。

すみませんねぇ、もったいない
お言葉頂いちゃいまして。

しかし30年前の料理本ですかー。
最近の私は、5年なんて短い時間は、
誤差のうちになってしまいました(笑)
kauri
2012年05月27日 09:32
うふふ。
おちゃさんのキッチンシリーズ、飽くなき好奇心と自由に工夫する心にあふれていて、毎度毎度引き込まれてしまいます。
美味しそうな匂いまでしてくるようで。
これからも楽しみにしています。
るい
2012年05月28日 10:15
洗練されたものでなく、どこかの誰かが作ったレシピにも、共感です。
えらそうにせず、何気ない日々のお惣菜って頂きたいし、作ってみたい!(おいしそうな匂いまでと言われるおちゃさんのブログも拝見したいです)

それに、日々丁寧な暮らしをされているkauriさんの生活ぶりもとてもいいなといつも思っています。
水戸の家でのまんまるカフェも、そういうところをめざしているんです。
kauri
2012年05月30日 20:11
るいさん

コメント遅くなりました。
共感していただいてうれしいです。
ありがとうございます。

おちゃさんのブログはこちら↓です。
「家」@鎌倉七里ガ浜+時々八ヶ岳
http://blog.goo.ne.jp/kama_8
キッチンでの様子がほんとにリズミカルで楽しそうで、読んでるこちらもついついノッてしまいます。

るいさんのお料理もとてもるいさんらしいと思います。
人を元気にする力があるというのかなー。

いっぽう私はいつも瞬発力だけで生きていて、なかなか日々丁寧に…とはいかなくて。
持久力が課題です。
菅野叶絵
2020年02月22日 19:09
こんにちは、初めまして。検索からこちらのブログに辿り着きました。
突然で申し訳ないのですが、野村さんのおもしろクッキングのフライドチキンのページを、母がずっと探しておりまして、どうしてもレシピが知りたい!と熱望しているのですが、教えていただくことは出来ますでしょうか。
難しいと思いますが、どうかよろしくお願い致します。
kauri
2020年02月24日 21:20
菅野さま

コメントありがとうございます。
このブログ記事を書いてから10年近い年月が経ち、従ってこのおもしろクッキングがオレンジページに連載されたのは、もう40年近く前のこと。
それをこうして今、お話できるのをとてもうれしく思います。
さて、野村さんのフライドチキンのレシピをかいつまんでご紹介します。
鶏肉(野村さんは丸ごとの鶏を八つに切り分けたものを使用)を牛乳にしばらく漬け、スーパーの紙袋に小麦粉1/2カップ、塩、胡椒、パプリカ、タイム、ナツメグなどのスパイスをたっぷりふり込んだところに鶏肉を放り込み、口をしっかり握って激しく振り動かす。
厚手のフライパンに油を1cmほど入れて熱し、チキンを骨側を下にして並べ、蓋をして15分。
裏返して10分。
これで完成です。
パリパリと香ばしい、おいしいフライドチキンが再現できますように。
お母様にもどうぞよろしくお伝えください。
菅野叶絵
2020年02月25日 13:04
お返事ありがとうございます!
もう藁にもすがる思いでコメントさせていただいたので、本当に嬉しいです……!!
タイムを使ったレシピなんですね。母に見せたところ、記憶の中のレシピと同じような気がする!と大変喜んでおりました。早速今日作ろうか?と、本当にワクワクした様子でした。
実はオレンジページの会社の方にも問い合わせしていたのですが、バックナンバーは1年半前のものまでになります、と言われてしまっていたところだったので、本当にありがたいです(´;ω;`)
重ね重ね本当に、本当にありがとうございました!!